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ゲームの感想日記、たまにIT・プログラミングの話


06/16

_ [文字入力] Dvorak系の入力方法を比較してみる その2

ここ1ヶ月ほどはまたQWERTYに戻って、たまに気分転換にAOURやJLODを使っています。 ……という程度でエントリを続けて書いて良いのかどうか(汗。

Dvorak系の入力方法を比較してみる その1 で紹介した、DvorakJ、ACT、gACT10、JLOD、AOURの比較エントリです。

表全体

主観で比較表を作ってみました。「◎○△×」の順に対応数を表しています。

項目DvorakJACTgACT10JLODAOUR
母音・子音の左右分離×××
二重母音拡張(あい、おう)○(3)◎(5)◎(5)◎(5)◎(5)
撥音拡張(あん、おん)
入力し易さ / 撥音(ん)××××
入力し易さ / 促音(っ)×
入力し易さ / 長音記号(ー)
単純さ / 拗音ゃ(きゃ、ひゅ)◎(2)△(?)△(6)△(6)○(3)
単純さ / 拗音ぃ(てぃ、うぉ)
単純さ / 特殊子音(とぅ、つぁ)×
省略 / しゃ、ちゃ、じゃ、ふぁ、ヴ○(3)△(2)△(2)△(1)◎(5)
省略 / 拗音+う(しゅう、ちょう)×○(21)○(24)○(19)
省略 / 拗音+ー(ふぉー、みゅー)×○(6)×○(12)
省略 / 拗音+くつ(しゅく、じゅつ)×○(22)○(22)◎(48)○(22)
省略 / 母音+きくつっ(さく、たつ)××○(129)◎(210)△(12)
省略 / 促音+た(った、って)×××
省略 / 母音+ら(ぷり、くら)××○(210)××
他 / 特殊拡張(こと、です)×◎(100+)◎(70)○(34)○(21)
他 / 記号××○(42)××
使用方法 / ATOK××××
使用方法 / GoogleIME??
使用方法 / DvorakJ?
使用方法 / 姫踊子草???
習得 / QWERTYからの移行××
習得 / Dvorakからの移行
習得 / ルールの単純さ×
マスター後の打鍵効率

これだけでは何のことやらですから個別にやはり主観全開で解説を。

最初に2点注意書き。この「◎」の多機能さは必ずしも良さには繋がりません。複雑で覚えにくかったり、誤爆したり。そして、仕様の見間違いによる間違い、勘違いがあるかもしれません、というかきっとあります。

母音・子音の左右分離

項目DvorakJACTgACT10JLODAOUR
母音・子音の左右分離×××

前回の日記の「各入力方法の簡単な紹介」の配列そのままです。gACT10とJLODは子音が右手に固まっていて、左右交互に打ちやすいです。AOURで「ピチュー」とか全部左手人差し指で打つのは大変。でも右手に子音が固まると言うことは、右手小指の打ちにくい上段下段もよく使う事になったり、左手の動きに余裕ができすぎたりと、一長一短でも。

二重母音拡張、撥音拡張

項目DvorakJACTgACT10JLODAOUR
二重母音拡張(あい、おう)○(3)◎(5)◎(5)◎(5)◎(5)
撥音拡張(あん、おん)

どの入力方法も対応しています。

二重母音拡張は、DvorakJは「うう」「うい」が標準では使えません。でも2重母音で良く出てくるのは「あい」「おう」「えい」の3つで、そんなには困らないと思います。「うい」は頻度より、実際打つ際に左手人差し指2連打が嫌、という事ではと。

発音拡張は、「さん」のように子音開始の時だけ使えるものと、「あん」のように母音開始でも大丈夫なものの2通りがあります。結構「あんしん」「えんえんと」のように使う機会があり、子音がないとリズムが崩れて困ったりします。しかし、これだけで左手の押しやすい下段キー5カ所を消費してしまうことにもなり、他の打ちやすさに影響します。AOURのように「ん」が押しやすい所にあれば無くてもそんなに困らないと思います。

入力し易さ / っんー

項目DvorakJACTgACT10JLODAOUR
入力し易さ / 撥音(ん)××××
入力し易さ / 促音(っ)×
入力し易さ / 長音記号(ー)

「ん」はAOURだけが1打で入力できるようになっています。と言ってもACT, gACT10, JLODでは撥音拡張が便利で、「ん」と特別に打ちたいことは意外と少ないです。「nn」で十分。

「っ」が1つのキーに割り当てられているものが多いです。「あっ、」のように「っ」で終わるのが楽です。普通のローマ字で子音を連打するのはあまり打ちやすくありません。入力方式によって配置がばらばらです。個人的にはAOURの左小指下段やgACT10の左人差し指上段が押しやすい印象があります。

「ー」はどれも右小指のホームより一つ右、QWERTYでの「:」の位置。外来語の入力がとても楽になります。JLODでは右薬指上段でも長音を入力できます。

単純さ / きゃ、ひゅ、てぃ、うぉ、とぅ、つぁ

項目DvorakJACTgACT10JLODAOUR
単純さ / 拗音ゃ(きゃ、ひゅ)◎(2)△(?)△(6)△(6)○(3)
単純さ / 拗音ぃ(てぃ、うぉ)
単純さ / 特殊子音(とぅ、つぁ)×

「きゃ、きゅ、きょ」のようなイ+拗音を打つためにどれだけの数の拗音化キーが出てくるか。AOURでは最低3つ(右手人差し指)、他は6つ(右手人差し指と薬指)必要です。しかし、数が多いのは打ちにくいのを避けるためです。AOURの「びゅ」は右人差し指を動かしにくいです。

「てぃ、うぉ」のようなエ+拗音、ウ+拗音。拗音キーの場所が普通の「ちゃ」等と被らないように、色々な避け方をしています。この規則がないものは、それぞれ覚えなければ(汗)。JLODだけは第2拗音キーを使うという単純な規則になっています。

「とぅ、つぁ」のような特殊子音。多くの入力方式では、やはりそれぞれ他のルールと被らないように避けています。「とぅ(two)」はそれ以外にtw系の入力がないからと特別な子音を振らず、よりマイナーな「てょ(tho)」の代わりに出すことも。単純なルールを貫くJLODでは、この「とぅ」だけに特別なルールを作るのでは無くて、「と」「ぅ」と分けて入力して下さいと割切っているようです。

省略 / しゃ、ちゃ、じゃ、ふぁ、ヴ

項目DvorakJACTgACT10JLODAOUR
省略 / しゃ、ちゃ、じゃ、ふぁ、ヴ○(3)△(2)△(2)△(1)◎(5)

これらの子音をAOURでは1打鍵で打てます。しかしこうして子音キーが多いと左手に割り当てられるものもあり、「しゅ」=「sh(左人奥下段) + u(左中中段)」と2打でも左手人差し指が動き回って押しにくいとも。普通に「しゅ」=「s(右小中段) + y(右人中段) + u(左中中段)」と3打鍵の方が楽に思います。

ヴは日本語では滅多に出てこないもので、右手薬指下段から遠くに動かしているものが多いようです。

省略 / 他いろいろ

項目DvorakJACTgACT10JLODAOUR
省略 / 拗音+う(しゅう、ちょう)×○(21)○(24)○(19)
省略 / 拗音+ー(ふぉー、みゅー)×○(6)×○(12)
省略 / 拗音+くつ(しゅく、じゅつ)×○(22)○(22)◎(48)○(22)
省略 / 母音+きくつっ(さく、たつ)××○(129)◎(210)△(12)
省略 / 促音+た(った、って)×××
省略 / 母音+ら(ぷり、くら)××○(210)××

「しゅう」や「ちょう」のように、拗音のあとに「う」が入る事は良くあります。そこで、子音との組み合わせによってはプラス1打で「ゅう」を打てるようにしています。JLODの場合、「s(右小中段) + y(右中中段)」と、拗音化キーの一つ隣で「しゅう」に。どうしてこのメモを書くときには4打も打っているのだろうと思ってしまったり(汗)。

その「ゅう」等ですが、「ぴゅう」よりも「ぴゅー」の方がずっとよく使う、という組み合わせもあります。コンピューターと書くことは多くても、ぴゅう太と書くことはあまり、とか。そういうものは、同じ「ゅう」の規則で入力すると「ゅー」と出すものもあります。ある意味便利。ただし、うっかり思った方と違う文字が出てくると [BackSpace] のお世話に。ルールがかっちりしたJLODは常に「ゅう」で、迷うことはありません。でもあまり使わないものが登録されているとも。どちらが使いやすいかは打ち手次第かと。

「〜く」「〜つ」。これは漢語由来の言葉に多いです。「さくさく」を4打(AOUR)や6打(gACT10, JLOD)で打てると気持ちが良いです。JLODは殆どの子音に対して「さく、さつ、さっ、しく、しつ、しっ…」を3打入力できます。

「った」などの「っ」とた行が続く入力。言われてみると確かにこの組み合わせは多いです。gACT10とAOURでは2打で取れます。これらは「かった」を「か + った」と分解して打つ感じ。JLODは1つ上の分解で「かっ + た」とします。好みの問題かと思いますが、私は「シャッター」を「しゃ + った」と区切れる方が好きです。

「ぷり」などのら行が続くものを計3打で入力。gACT10のみ対応しています。一見便利なのですが、「p + ri」としたときに「ぱり」か「ぷり」かが分からなくて、しっかり覚えないと誤爆してしまいます。2文字入力で前側が間違っている時、単に [BackSpace] や [Ctrl]+[H] すると確実な字が先に消えてしまいます。

特殊入力

項目DvorakJACTgACT10JLODAOUR
他 / 特殊拡張(こと、です)×◎(100+)◎(70)○(34)○(21)
他 / 記号××○(42)××

特殊拡張は、QWERTYでいう「pl」のように普通のルールに当てはまらないものに対して適当によく使う文字を入れるもの。携帯で子音だけ入力すると予測変換してくれるように、「kt=こと」「st=した」あたりを使えるようになると便利です。でもたとえば「した」と決めると、「して」のように語尾の母音を変えたいときに不便。gACT10はgoogle日本語入力の機能を使って「しt」までにしているのが、気が利いていると思いました。この拡張はキー数と文字数の対応関係が分かりにくく、2打でうっかり「いたします」と出たときに [BackSpace] の嵐になってしまうことには注意です。

記号入力は、google日本語入力で普通に「z」+「hjkl」と入れるとすぐに「←↓↑→」が出てくる (参考: [Google日本語入力で使える「Zコマンド」がすごい | IDEA*IDEA]) ように、よく使う記号を漢字変換せずに出す機能。google日本語入力前提のgACT10だけが対応しています。これは覚えると非常に便利なのですが、配置を覚えないと「・」「:」という基本的な記号すら入力方法が分からずはまります、はまりました。

使用方法

項目DvorakJACTgACT10JLODAOUR
使用方法 / ATOK××××
使用方法 / GoogleIME??
使用方法 / DvorakJ?
使用方法 / 姫踊子草???

?は調べられなかった項目です。

文字入力方法を変えるのを試すために専用のソフトを使うのだと敷居が高く、一度QWERTYに戻すともう二度と挑戦したくなくなったりします(汗)。IME切り替えだけで試せるとお手軽です。

ATOKをメインにする場合、AOURが有力な選択肢になります。ATOKの制約に沿うためにルールが多少複雑になっているという感じもしますけれども(汗)。

google日本語入力の場合は一気に選択の自由度が上がり、親指シフトのように同時押しが関係しなければどんな配列でも定義ファイルさえあれば試せます…… とは言っても定義ファイルが公開されていないものも多く。JLODは前のエントリで公開したものに、[Tab]補完と相性が悪いカナ文字を全角アルファベットに置換したものを使っています。

本気で日本語入力方法を切り替えるつもりなら、DvorakJや姫踊子草といった専用ソフトを使うのがいいかも知れません。英語側もDvorakにできます。

習得速度、打鍵効率

項目DvorakJACTgACT10JLODAOUR
習得 / QWERTYからの移行××
習得 / Dvorakからの移行
習得 / ルールの単純さ×
マスター後の打鍵効率

QWERTYから乗り換えようとすると、どれも覚える事が多いです。1ヶ月くらいは違うキーを叩いてしまったり。句読点の位置が同じAOURが少しだけ安心感がある、という程度で。

マスター後の打鍵効率は、Dvorakから調整の少ないDvorakJを除くと、だいたいルールの単純さと反比例の関係だと思います。gACT10は極めると凄いですけれど棘の道すぎます、ですとか。バランスが良いのはJLODとAOURという印象です。

最後に

結局のところ、どの方法でもQWERTYよりは慣れると入力が速くなるのではと。比較エントリのまとめとしては何にもなっていないですが……。そしてこのエントリをQWERTYで書いている以上説得力がさっぱりありません。ああ。

このエントリを書き始めた頃には、同時に「そんな入力方法で大丈夫か? 大丈夫だ、問題ない。」をいくつかの方法で比較入力する動画か何かを考えていました。確かQWERTYとAOURで3割くらい違ったはずです。しかし旬を逃してしまって、ああああ。

文字入力系のエントリは、ここでおそらく一区切りになると思います。